
皆さんこんにちは!
株式会社ロクロヤ、更新担当の中西です。
シリーズ「プロが教える!管工機材&住設機器徹底ガイド」第2回をお届けします。
前回は「配管素材の選び方入門」としてPVC管、銅管、ステンレス管、PE管の特徴と適材適所を解説しましたが、今回は「継手&バルブ徹底比較:ねじ込み式・ソケット式・フランジ式、制御バルブまで用途別ベストチョイス」をテーマに、配管の“つなぎ”部分である継手とバルブを詳しく比較・解説します。現場での施工性、耐圧性、メンテナンス性、コスト面などを踏まえた選定ポイントを網羅しましたので、ぜひご参考ください。
目次
配管システムの要となる継手は、大きく「ねじ込み式」「ソケット式(接着式)」「フランジ式」の3タイプに分かれます。用途や管材に応じて適切に使い分けることで、施工効率やシステム信頼性が向上します。
構造・接合方法
メス・オスのねじ山をかみ合わせて締め付ける方式。金属管(銅管、ステンレス管、鉄管)や硬質塩ビ管(PVC-U)に広く用いられます。
メリット
繰り返し着脱が可能で、メンテナンス時の分解・交換が容易
パッキンやシールテープを併用することで気密性・水密性が高い
配管方向の変更や分岐が比較的自由
デメリット
ねじ切り作業に技術が必要で、工期がやや長くなる
締め付けトルク管理が不適切だとリークや破損の原因に
大口径(50A以上)では施工が困難で、専用工具が必要
構造・接合方法
PVC管やPE管において、継手側のソケットに接着剤(プライマー+セメント)を塗布し、管を差し込んで接着・硬化させる方式。PE管では融着接合(熱溶着)も多用されます。
メリット
施工が簡易で、接着剤塗布後の差し込みのみで完了。工期短縮に貢献
接合部が滑らかで内面抵抗が少なく、流体損失が低減
継手材料が管と同素材のため、熱膨張差によるストレスが少ない
デメリット
一度接着すると分解が困難で、メンテナンス時は切断・再施工が必要
接着不良やプライマー不足でリークリスクがある
PE管の融着接合は専用機械と技術が必須
構造・接合方法
管端にフランジ(平板状の輪)を溶接または圧着し、ガスケットを挟んでボルト締めする方式。大口径配管や高圧配管、脱着頻度が低い箇所に採用。
メリット
高い耐圧性能(数MPa以上)を確保可能
大口径・高圧配管に適し、異種管材同士の接続にも柔軟
ガスケット交換で気密性を再確保でき、保守性も良好
デメリット
ボルト締め作業が必要で、工期・人件費が増加
フランジ重量が重く、支持構造の強化が必須
ガスケット材選定ミスでリークや腐食を招くリスク
バルブ(弁)は、流体の開閉・制御を担う重要機器です。用途や制御方式に応じて多彩な種類があり、適切に選定しないとシステム性能やメンテナンス性に大きく影響します。
特徴
ゲート(楔形または円板)を上下させて開閉する方式。全開・全閉用途向けで、開度制御には向きません。
メリット
全開時の圧力損失が小さい(流路が直線)
シンプル構造で寿命が長く、メンテナンス頻度が低い
デメリット
開閉に大きなトルクが必要で、手動操作が重い
微調整や部分開放に向かない
特徴
ディスクを上下させて流量を調整する方式。微調整・流量制御用途に適します。
メリット
流量調整性能が高く、部分開放での安定制御が可能
シール面交換でメンテナンス性向上
デメリット
流路が曲がるため、ゲートバルブに比べて圧力損失が大きい
開閉操作にやや時間を要する
特徴
ボール形状の弁体を90度回転させて開閉する方式。全開・全閉用途で人気。
メリット
クイック開閉(90度操作)で迅速な操作が可能
流路が直線で圧力損失が少ない
コンパクト設計で軽量
デメリット
微調整が難しく、部分開放での制御精度が低い
シール面劣化時のリークリスクがある
特徴
流体圧により自動開閉し、逆流を防止する方式。スプリング式やディスク式など多様。
メリット
自動動作で逆流防止が確実
設置後の操作不要
デメリット
流路に応じた適切なバネ特性やディスク形状選定が必要
定期的な点検・清掃が必須
用途 | 継手 | バルブ | ポイント |
---|---|---|---|
小口径給水配管 | ねじ込み式 | ボールバルブ | メンテナンス性重視、迅速開閉 |
大口径排水・雨水配管 | ソケット式 | ゲートバルブ | コスト重視、圧力損失最小 |
高圧蒸気配管 | フランジ式 | グローブバルブ | 高耐圧・精密制御、検査・保守のしやすさ |
地中埋設給水 | PE管融着継手 | チェックバルブ | 耐震・耐衝撃、逆流防止 |
化学薬品配管 | ステンレスねじ込み | 耐蝕ボールバルブ | 耐薬品性重視、シール材適合性確認 |
継手とバルブは、配管システムの信頼性・施工性・メンテナンス性を大きく左右します。ねじ込み式、ソケット式、フランジ式の特徴を理解し、用途に応じて適材適所で使い分けることが、長期にわたる安心・安全なシステム構築の鍵です。また、バルブも用途(全開・全閉、流量制御、逆流防止)に合わせて最適なタイプを選ぶことで、運用コストの低減や保守性向上につながります。
第3回では「給湯・給水機器ガイド:ガス・電気・エコキュートの特徴と現場での施工ポイント」をお届けします。各種給湯器のメリット・デメリット比較や、施工時の注意点、最新の省エネモデル情報などを詳しく解説します。ぜひお楽しみに!
株式会社ロクロヤは、管工機材・住設機器の豊富なラインナップを卸価格でご提供し、施工業者様のコスト最適化と品質向上を全力でサポートします。本シリーズを通じて、皆様の現場業務に役立つ情報をお届けしてまいります。
次回もどうぞお楽しみに!
皆さんこんにちは!
株式会社ロクロヤ、更新担当の中西です。
本日より新シリーズ「プロが教える!管工機材&住設機器徹底ガイド」をスタートします。
このシリーズでは、弊社が取り扱う豊富な管工機材や住設機器の中から、現場で本当に役立つ製品の選び方、使い方、メンテナンス方法までを余すところなく解説していきます。全8回にわたって、施工品質向上とコスト最適化のヒントをお届けしますので、ぜひご期待ください。
目次
配管は建物のライフラインを支える重要な要素です。使用環境や目的に応じて最適な素材を選定することで、施工性、安全性、耐久性、コストのバランスを取ることができます。ここでは、配管現場で最も基本となる4大管種――硬質塩ビ管(PVC)、銅管、ステンレス管、ポリエチレン管(PE管)――の特徴を詳しく比較し、用途別の選び方ポイントを解説します。
硬質塩ビ管は塩化ビニル樹脂を原料としたプラスチック管で、軽量かつ高い耐食性を持ちます。給水・排水・雨水・農業用水など幅広い用途に使用され、施工性とコストパフォーマンスの高さから現場で非常に多く採用されています。
軽量・施工性:金属管と比べて非常に軽く、カッターやソーで簡単に切断可能。接着剤によるソケット接合も短時間で施工できるため、工期短縮に貢献します。
耐食性・耐薬品性:塩ビ樹脂自体が薬品に強く、多くの化学薬品に侵されにくいため、工業用途の排水管にも適応。
コスト優位性:材料費が低く、大口径配管でも経済的。メンテナンスコストも抑えられます。
耐熱性の限界:使用可能温度は60℃程度まで。温水配管や高温蒸気配管には向きません。
紫外線劣化:屋外露出時に紫外線で劣化しやすく、長期耐候性を確保するには保護塗装や被覆が必要です。
給水配管:20A~50A程度の給水配管では標準的に使用可能。
排水配管:75A~150A程度の排水・雨水配管に適応。
屋外使用時:UVカット被覆タイプや保護塗装を施した製品を選定しましょう。
銅管は金属管の代表格で、耐熱性・耐圧性に優れ、給湯配管や冷媒配管(エアコン用)で多用されます。硬質銅管(K管)や軟質銅管(L管)など、用途に応じて複数の規格があります。
高い耐熱性・耐圧性:100℃以上の温水や高圧蒸気配管にも対応可能。
柔軟性:軟質銅管は曲げ加工が容易で、現場の形状に合わせた配管が可能です。
長期耐久性:金属管としての信頼性が高く、腐食に強い環境では非常に長寿命です。
高コスト:材料費・加工費ともに高め。大口径や長距離配管ではコストが嵩む場合があります。
電食対策:異種金属接触による電食を防ぐため、絶縁処理や電食防止材の使用が必要です。
給湯・冷媒用途:硬質銅管(K管)を選び、はんだ付けやフレア接続、圧着接続など適切な施工方法を選定。
電食防止:異種金属部には絶縁スリーブやコーティングを施し、長期的な腐食を防ぎましょう。
ステンレス管は耐食性・耐熱性・耐圧性が極めて高く、海水配管や化学プラント、高温蒸気配管など厳しい環境下で活躍します。SUS304、SUS316など材質選定の幅が広いのも特徴です。
極めて高い耐食性:塩害、薬品、海水など過酷な環境でも腐食しにくい。
高温・高圧対応:蒸気配管や高温循環配管にも対応可能。
衛生性:飲料水配管としても安心して使用できる衛生性。
最も高コスト:材料費、溶接施工費、検査費用が高額。
専門技術が必要:溶接施工には資格者が必要で、検査や溶接後処理も厳格です。
海沿い・化学薬品環境:SUS316を推奨。
飲料水配管:SUS304で十分ですが、衛生面の検査体制を整えましょう。
ポリエチレン管は柔軟性に富み、耐震性・耐衝撃性が高いプラスチック管です。架橋ポリエチレン管(PE-X)は耐熱性も向上し、給湯配管としても利用可能です。
施工性:曲げ加工が容易で、圧着継手により溶接不要。施工スピードが速い。
耐震・耐衝撃:地震時の揺れや振動に強く、地中埋設配管にも適応。
耐薬品性:多くの化学薬品に強く、排水管や工業用途にも利用可能。
紫外線劣化:屋外露出配管にはUVカット被覆が必須。
耐熱性の限界:PE-Xでも80℃程度まで。高温用途では金属管が優位。
給水・地中埋設:PE管を推奨。
給湯用途:PE-X管と専用圧着継手を使用し、施工品質を確保。
用途 | PVC管 | 銅管 | ステンレス管 | PE管 |
---|---|---|---|---|
冷水給水 | ◎ | ○ | ○ | ◎ |
温水給水 | △(~60℃) | ◎(100℃) | ○(150℃) | ○(~80℃) |
排水・雨水 | ◎ | × | ○ | ◎ |
冷媒配管(空調) | × | ◎ | ○ | × |
地中埋設 | ○ | △ | ◎ | ◎ |
海沿い・化学薬品 | △(被覆要) | △(電食要) | ◎ | ○ |
配管素材の選定は、使用環境、温度・圧力条件、コスト、施工性、メンテナンス性など多角的に検討する必要があります。今回ご紹介した4大管種の特徴を理解し、現場に最適な素材を選定することで、長期にわたる安全性と経済性を両立させることが可能です。
第2回では「継手&バルブ徹底比較:ねじ込み・ソケット・フランジ、制御バルブまで用途別ベストチョイス」をテーマに、配管システムの“つなぎ”部分を深掘りします。施工性、耐圧性、メンテナンス性を比較し、現場で本当に役立つ製品選定のポイントを詳しく解説します。ぜひお楽しみに!
株式会社ロクロヤは、管工機材・住設機器の卸販売を通じて、施工業者様のコスト削減と品質向上を全力でサポートします。今後とも本シリーズを通じて、皆様の現場業務に役立つ情報をお届けしてまいります。
次回もどうぞお楽しみに!