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日別アーカイブ: 2025年4月16日

第1回プロが教える!管工機材&住設機器徹底ガイド

皆さんこんにちは!
株式会社ロクロヤ、更新担当の中西です。

本日より新シリーズ「プロが教える!管工機材&住設機器徹底ガイド」をスタートします。
このシリーズでは、弊社が取り扱う豊富な管工機材や住設機器の中から、現場で本当に役立つ製品の選び方、使い方、メンテナンス方法までを余すところなく解説していきます。全8回にわたって、施工品質向上とコスト最適化のヒントをお届けしますので、ぜひご期待ください。


第1回:配管素材の選び方入門

PVC・銅管・ステンレス・PE管、それぞれの長所と適材適所

配管は建物のライフラインを支える重要な要素です。使用環境や目的に応じて最適な素材を選定することで、施工性、安全性、耐久性、コストのバランスを取ることができます。ここでは、配管現場で最も基本となる4大管種――硬質塩ビ管(PVC)、銅管、ステンレス管、ポリエチレン管(PE管)――の特徴を詳しく比較し、用途別の選び方ポイントを解説します。


1. 硬質塩ビ管(PVC管)

1-1. 基本特性

硬質塩ビ管は塩化ビニル樹脂を原料としたプラスチック管で、軽量かつ高い耐食性を持ちます。給水・排水・雨水・農業用水など幅広い用途に使用され、施工性とコストパフォーマンスの高さから現場で非常に多く採用されています。

1-2. メリット

  • 軽量・施工性:金属管と比べて非常に軽く、カッターやソーで簡単に切断可能。接着剤によるソケット接合も短時間で施工できるため、工期短縮に貢献します。

  • 耐食性・耐薬品性:塩ビ樹脂自体が薬品に強く、多くの化学薬品に侵されにくいため、工業用途の排水管にも適応。

  • コスト優位性:材料費が低く、大口径配管でも経済的。メンテナンスコストも抑えられます。

1-3. デメリット

  • 耐熱性の限界:使用可能温度は60℃程度まで。温水配管や高温蒸気配管には向きません。

  • 紫外線劣化:屋外露出時に紫外線で劣化しやすく、長期耐候性を確保するには保護塗装や被覆が必要です。

1-4. 選び方のポイント

  • 給水配管:20A~50A程度の給水配管では標準的に使用可能。

  • 排水配管:75A~150A程度の排水・雨水配管に適応。

  • 屋外使用時:UVカット被覆タイプや保護塗装を施した製品を選定しましょう。


2. 銅管

2-1. 基本特性

銅管は金属管の代表格で、耐熱性・耐圧性に優れ、給湯配管や冷媒配管(エアコン用)で多用されます。硬質銅管(K管)や軟質銅管(L管)など、用途に応じて複数の規格があります。

2-2. メリット

  • 高い耐熱性・耐圧性:100℃以上の温水や高圧蒸気配管にも対応可能。

  • 柔軟性:軟質銅管は曲げ加工が容易で、現場の形状に合わせた配管が可能です。

  • 長期耐久性:金属管としての信頼性が高く、腐食に強い環境では非常に長寿命です。

2-3. デメリット

  • 高コスト:材料費・加工費ともに高め。大口径や長距離配管ではコストが嵩む場合があります。

  • 電食対策:異種金属接触による電食を防ぐため、絶縁処理や電食防止材の使用が必要です。

2-4. 選び方のポイント

  • 給湯・冷媒用途:硬質銅管(K管)を選び、はんだ付けやフレア接続、圧着接続など適切な施工方法を選定。

  • 電食防止:異種金属部には絶縁スリーブやコーティングを施し、長期的な腐食を防ぎましょう。


3. ステンレス管

3-1. 基本特性

ステンレス管は耐食性・耐熱性・耐圧性が極めて高く、海水配管や化学プラント、高温蒸気配管など厳しい環境下で活躍します。SUS304、SUS316など材質選定の幅が広いのも特徴です。

3-2. メリット

  • 極めて高い耐食性:塩害、薬品、海水など過酷な環境でも腐食しにくい。

  • 高温・高圧対応:蒸気配管や高温循環配管にも対応可能。

  • 衛生性:飲料水配管としても安心して使用できる衛生性。

3-3. デメリット

  • 最も高コスト:材料費、溶接施工費、検査費用が高額。

  • 専門技術が必要:溶接施工には資格者が必要で、検査や溶接後処理も厳格です。

3-4. 選び方のポイント

  • 海沿い・化学薬品環境:SUS316を推奨。

  • 飲料水配管:SUS304で十分ですが、衛生面の検査体制を整えましょう。


4. ポリエチレン管(PE管)

4-1. 基本特性

ポリエチレン管は柔軟性に富み、耐震性・耐衝撃性が高いプラスチック管です。架橋ポリエチレン管(PE-X)は耐熱性も向上し、給湯配管としても利用可能です。

4-2. メリット

  • 施工性:曲げ加工が容易で、圧着継手により溶接不要。施工スピードが速い。

  • 耐震・耐衝撃:地震時の揺れや振動に強く、地中埋設配管にも適応。

  • 耐薬品性:多くの化学薬品に強く、排水管や工業用途にも利用可能。

4-3. デメリット

  • 紫外線劣化:屋外露出配管にはUVカット被覆が必須。

  • 耐熱性の限界:PE-Xでも80℃程度まで。高温用途では金属管が優位。

4-4. 選び方のポイント

  • 給水・地中埋設:PE管を推奨。

  • 給湯用途:PE-X管と専用圧着継手を使用し、施工品質を確保。


5.用途別おすすめ素材チャート

用途 PVC管 銅管 ステンレス管 PE管
冷水給水
温水給水 △(~60℃) ◎(100℃) ○(150℃) ○(~80℃)
排水・雨水 ×
冷媒配管(空調) × ×
地中埋設
海沿い・化学薬品 △(被覆要) △(電食要)

6.まとめ

配管素材の選定は、使用環境、温度・圧力条件、コスト、施工性、メンテナンス性など多角的に検討する必要があります。今回ご紹介した4大管種の特徴を理解し、現場に最適な素材を選定することで、長期にわたる安全性と経済性を両立させることが可能です。


次回予告

第2回では「継手&バルブ徹底比較:ねじ込み・ソケット・フランジ、制御バルブまで用途別ベストチョイス」をテーマに、配管システムの“つなぎ”部分を深掘りします。施工性、耐圧性、メンテナンス性を比較し、現場で本当に役立つ製品選定のポイントを詳しく解説します。ぜひお楽しみに!


株式会社ロクロヤは、管工機材・住設機器の卸販売を通じて、施工業者様のコスト削減と品質向上を全力でサポートします。今後とも本シリーズを通じて、皆様の現場業務に役立つ情報をお届けしてまいります。
次回もどうぞお楽しみに!

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